外国人雇用でミャンマー人に特化した採用戦略で企業の成長を支援する特定技能外国人登録支援機関、ネクストドアです。
外国人労働者であっても、加入条件を満たす就労の場合は、日本の社会保険への加入が必須です。
一方、老齢年金を受給するには、10年以上、年金保険料を納付していることが必要です。
しかし、例えば特定技能1号資格で働く外国人労働者は、最大5年までしか在留できません。
その場合、それまで支払った保険料は掛け捨てになってしまうのでしょうか?
また、日本で10年以上、年金保険料を納付した場合は受給できるのか?
納付したが、65歳になるまでに帰国した場合は?
今回は、そんな外国人労働者と、日本の年金制度について解説します。
社会保険への加入は義務ですが、外国人にとっては分かりづらく、納得しづらい制度とも言えます。
受け入れ企業からきちんと説明し、理解したうえで加入してもらうようにしましょう。
年金の受給条件を満たさないまま帰国する場合
冒頭にもあったとおり、特定技能や技能実習の資格で働く外国人労働者には在留期間に制限があり、老齢年金の受給条件を満たすことができません。
にもかかわらず、条件を満たす就労の場合は、加入が義務付けられています。
では、支払った保険料は無駄になってしまうのでは?そう考える外国人労働者も多く、社会保険への加入を渋るケースも少なくありません。
しかし、このようなケースでの救済措置として、支払った保険料の一部が払い戻される「脱退一時金」という制度があります。
これは、日本で働いていた(年金保険料を支払っていた)外国人労働者が出国し、日本に住所を持たなくなった際(その後、再来日の可能性があるかどうかわからない場合)の、保険料の掛け捨てを防ぐ制度です。
その支給要件は、
・日本国籍を有していないこと、日本に住所がないこと
・年金に加入し、保険料を納付した期間が6ヶ月以上10年未満であること
・障害年金の対象者ではなく、過去にも受け取ったことがないこと
・社会保険の資格を喪失してから2年未満であること
以上4つすべてを満たす必要があります。
また、最後の条件については、社会保険資格を喪失した時点ではまだ日本国内に住所を有している場合もあります。
その場合は、社会保険の資格喪失後、初めて日本国内に住所を有しなくなった日から2年未満であることが条件となります。
尚、受給のための手続きは、帰国後に本人が行わなければいけませんが、国外で日本の制度の手続きをするのは不安なもの。
退職し出国してしまう前に、受け入れ企業から手続き方法や期限を伝えてあげることが重要です。
脱退一時金の申請方法等、詳細はこちらの記事「受け入れ企業にも知ってて欲しい!特定技能外国人が退職時に請求できる脱退一時金とは?」もご覧ください。
脱退一時金が支給されないケース
ここで気をつけないといけないのは、4つの支給要件を1つでも満たせないと支給がされないこと。
例えば、日本から出国後、2年以上過ぎてから申請した場合や、提出書類に不備がある場合。
申請そのものは期限内に行えても、不備があって再提出などになると、その分時間がかかってしまいます。
また、日本を出国はしたが、住民票がまだ日本に有る状態の場合も対象となりません。
さらに、日本の年金加入期間が10年以上ある場合も、通常の老齢年金の受給資格を得るため、脱退一時金は支給されません。
10年以上、年金保険料を納付した場合
日本の年金加入期間が10年以上ある場合は、一般の日本人と同じく、本人が65歳になることで、日本の老齢基礎年金、老齢厚生年金を受け取ることができます。
受け取るには請求が必要ですが、海外からも老齢年金を請求できます。
つまり、65歳の時点で日本に在住している外国人はもちろん、65歳を迎える前に帰国した場合も、請求すれば、日本の年金を受け取ることができます。
一度確定した年金の受給権は、海外に行っても消失しないのです。
年金を請求するには、企業年金連合会のホームページより裁定請求書の送付依頼を行ってください。
請求方法は以下の3つです。
・ホームページ内の依頼フォームへの入力と送信
・文書(裁定請求書送付依頼書)をダウンロード・記入の上、送付
・年金相談窓口での受付
帰国後に窓口に行くのは難しいので、フォーム入力か文書の送付が現実的でしょう。
特に文書(裁定請求書送付依頼書)フォーマットは英語版もダウンロード可能なので、より分かりやすいかと思います。
不必要な年金保険料の納付を回避する方法
ここまでは日本の社会保険に加入する前提のことをお話しましたが、実は条件次第では日本の年金に加入しなくても良い場合があります。
それは、その外国人労働者の母国が、日本と社会保障協定を結んでいる場合。
社会保障協定とは、年金の二重加入や年金受給資格の問題を解消するため、日本とその他の国で結ばれる協定です。
例えば、今は日本で働いているが、一定期間後は母国に帰る見込みという場合、母国での年金加入を継続していることも考えられます。
そうした場合に、年金の二重加入とならないよう、日本に在留する見込み期間が5年未満の方は母国の年金に加入するのみでよい、というような内容が、2国間で取り決められているのです。
技能実習や特定技能では最大5年間在留可能ですが、5年未満で帰国する場合ももちろんあります。
もしそれが最初からわかっているようなら、この協定の内容に基づき、加入免除手続きを行うと良いでしょう。
ただし、すべての国とこの社会保障協定が結ばれているわけではありませんし、内容も国ごとに異なります。
現在の締結状況については、厚生労働省のホームページをご参照ください。
しくみの詳細と手続き方法はこちらです。
まとめ
日本で働く外国人労働者も、原則は日本の社会保険への加入が必須です。
中には年金の受給条件である10年以上の納付をしないまま帰国する人もいますが、その場合も、きちんと申請すれば脱退一時金というかたちで一定額を返してくれます。
また、受給条件を満たせばもちろん、65歳以上は日本の年金を受け取ることができます。
さらに、社会保障協定が結ばれている国に既に年金を支払っている場合には、日本では加入を免除される場合も。
決して外国人労働者にとって不利な条件ではないことを伝えて安心させてあげましょう。
ただし、いずれの制度も手続きや申請が必要です。
本人だけでは難しい場合には受け入れ企業もサポートするなど、せっかく一緒に働いてくれた外国人労働者を労う意味でも、最後まで責任を持って送り出してあげることが大切です。
とはいえ、辞めていく社員のためにどこまで時間や労力を費やせるのか、という問題はあります。
登録支援機関であるネクストドアでは、外国人労働者の退職後のアフターフォローも、もちろんご支援、ご相談可能です。
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