外国人雇用でミャンマー人に特化した採用戦略で企業の成長を支援する特定技能外国人登録支援機関、ネクストドアです。

今も多くの企業、現場で活躍している技能実習生ですが、その制度が見直されようとしているのをご存知でしょうか?

実は2022年11月に、政府は「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」を設置。

特定技能制度と併せて、これらの制度の実施状況の検証や、今後の方針の検討が進められています。

2023年春には、検討の方向性を示した中間報告書が取りまとめられ、つい最近、10月にも会議が開かれ、最終報告書案が提出されました。

11月には正式決定となる見込みです。

今回はそんな技能実習制度の見直しについて、詳しく見ていきましょう。

今すでに実習生を受け入れている企業様も、これから受け入れを検討している企業様もぜひ御覧下さい。

技能実習制度見直しの背景

そもそもなぜ今、技能実習制度の見直しが必要なのでしょうか?

技能実習制度が創設されたのは1993年。

その目的は、途上国などの外国人を日本へ受け入れ、技能・技術などを習得してもらい、母国での経済発展を担う人材となるよう育成すること

しかし実態は、国内での人材不足への対策として、労働力を補う目的で使われている状況です。

というのも、日本の労働基準法に詳しくないことを利用し、時間外労働など長時間労働を強いたり、安全面や衛生面で懸念のある現場でばかり就労させたり、不当に賃金を低く設定したりと、様々な問題が指摘されているのです。

しかし、技能実習制度には、原則3年間は転籍ができないなどの制約があり、実習生からはなかなか声を上げることができない環境でした。

そんな労働環境に耐えかね、失踪してしまう外国人労働者もいます。

2022年には、なんと9,000人もの失踪者が出ました。

そのような状況から、技能実習制度が外国人の人権を侵害しているとして、世界からも批判を受けています。

そこでこの度、外国人材の確保と育成の為の、実態に即した新たな制度づくりが検討されることとなった、という経緯です。

技能実習制度はどのように変わる?

それでは具体的に、どのような変更点があるのでしょうか?

まだ最終決定とはなっておりませんが、その内容を見ていきましょう。

制度の目的

まず、制度の目的が見直されます。

これまでは前述のとおり、人材育成や国際協力が目的でした。

しかし、昨今の日本の人材部奥の状況や実態にあわせ、「人材確保」に重きを置く制度として変更されようとしています。

在留期間について

今までの制度では、最長5年の在留期間とされていましたが、新制度では、原則3年。

また、試験に合格することで延長も可能とされる見込みです。

転籍について

今回の制度の見直しで一番大きなポイントとなるのが転籍のこと。

現状の制度では、最初の3年間は転籍(同じ職種内の別企業への移籍)ができない制限があります。

そのため、会社との関係性を保つためにも不満が言いづらく、耐えかねて失踪してしまう、というケースもあったのでしょう。

そんな状況を改善すべく、新制度では、就労開始から1年以上が経過し、基本的な日本語能力と基礎的な知識・技能があれば転籍が可能になる方針です。

技能実習制度の見直しにより想定される影響

今回の制度の見直しは、外国人労働者への人権侵害を解消する内容が多く盛り込まれているため、基本的に労働者側にとっては良い影響が出ると想定されます。

賃金や労働時間など、労働環境の改善が期待されています。

一方、企業側への影響は、メリットばかりではないかもしれません。

新制度では、技能実習の87職種と特定技能の12分野を一致させる方針が示されています。

その為、在留資格の移行がしやすくなり、特定技能に移行することで在留期間の延長も可能。

長期雇用が出来る可能性は高まります。

また、転籍の条件として「基本的な日本語能力」が求められるため、ある程度の日本語能力を備えた人材の確保もしやすくなることが期待されます。

しかし、転籍の制限が緩和されたことで、人材の流出のリスクも高まります。

外国人労働者としても当然、より条件の良い企業で働きたいですから、せっかく自社で受け入れ、育ててきた人材が、1年ですぐ別の会社へ転籍してしまう、という可能性もあるわけです。

外国人労働者の雇用には、一人あたり約100万円のコストがかかると言われております。

また、企業によっては、日本語能力向上のための勉強費や、技術習得のためのセミナー費、使用する機械代など、育成の為の費用や時間をかけているところもあります。

そうした場合、ある程度の期間在籍してもらわなければ、受け入れに要したコストを回収できません。

そこで、育成にかかるコストは、最初の受け入れ先以外に、転籍先などにも負担させる仕組みづくりが検討されています。

技能実習制度は今後廃止される?

このように、様々な面で変更される技能実習制度。

おそらく「技能実習制度」という名称も変更されるので、実質、廃止されると言っても良いかもしれません。

しかし、受け入れまでの流れ(監理団体を通して派遣される仕組み)は基本的に変わりませんので、今までから適正な受け入れを行ってきた企業からすると、特に問題は無いかと思います。

また、うまく関係性が築ければ、在留資格の移行、期間の延長を経て、長く雇用できる可能性も増えますので、より育成し甲斐があるとも言えるでしょう。

ただ、今回の改正では、賃金の格差により都心部に人材が集中し、地方の人材が不足するのでは?といったことが懸念されています。

今後も随時、制度の見直しや改正がされる可能性は充分にあるので、こまめなチェックが必要でしょう。

まとめ

まもなく方針の最終決定を迎える技能実習制度の見直し。

これまでの他国への技術・技能移行という名目での、実質、労働力の確保として使われていた状況を改め、新制度では、日本の人材不足対策として振り切るかたちになります。

これまでの「実習生」という定義ではなく「労働者」とみなされ、労働者としての権利や人権の保証は強化されます。

その分、外国人労働者は日本語能力や技術の向上が求められることになるでしょう。

企業側は労働環境の改善を目指し、より責任感ある対応が求められます。

新制度は11月にも最終案が取りまとめられる予定ですので、ぜひ注目してみてください。

そして、実習生を受け入れ中の企業様も、今後、受け入れを検討している企業様も、もしご不明な点やご不安があれば、ぜひ当社にお気軽にご相談下さい。

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