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外国人雇用でミャンマー人に特化した採用戦略で企業の成長を支援する特定技能外国人登録支援機関、ネクストドアです。
以前の記事で、外国人労働者も、日本での納税義務や、年末調整の対象となることをお話しました。
今回は、それらに関連して、扶養控除についてお話します。
家族が母国にいても、日本で働く外国人は扶養控除が受けられるのか?
その条件や手続きの仕方は?
受け入れ企業がするべきことはある?
そのような疑問にお答えいたします。
外国人にとって日本の制度は分かりづらいもの。
雇用している外国人労働者から相談を受けることもあると思いますので、既に受け入れている企業様も、今後採用をご検討の企業様も、ぜひご一読ください。
国外扶養親族とその条件とは
結論から言いますと、日本で働く外国人が「居住者」である場合は、家族が国外にいても扶養控除の対象となります。
日本国外にいる扶養控除対象となる家族のことを、国外扶養親族と言い、年末調整で申請手続きを行うことで、扶養控除を受けられます。
「居住者」の基準は、1年以上日本に滞在している人または、1年以上日本で働く予定があって日本にきている人であること。
技能実習生や特定技能などの在留資格はこれに当てはまります。
外国人労働者が扶養控除を受ける条件は以下の通りです。
・配偶者以外の6親等内親族または3親等内姻族など
・扶養する対象者の年齢条件を満たすこと(詳細は後述)
・海外居住の家族に送金している事実があること(納税者本人と生計を一にしていること)
・青色事業専従者として給与をもらっておらず、かつ白色事業専従者でもない
基本的には、年末時点でこれらすべての条件を満たす人のみが、国外扶養親族として扶養控除を受けることができます。
2023年から扶養控除の条件が厳格化
実はこの国外扶養親族の扶養控除の条件は、2023年に変更され、厳格化されました。
変更されたのは、扶養する対象者の年齢が30歳以上70歳未満は原則、扶養控除対象外となったこと。
それまでは、年齢の条件は「16歳以上」はすべて対象でしたが、そこに年齢制限が設けられたのです。
これは、30歳以上70歳未満という年齢層は、現地で自立して生活できるのではないか、と考えられるためと思われます。
つまり、海外在住の親や子に送金していても、その親や子が30歳以上70歳未満の場合は、扶養控除は受けられなくなったのです。
ただし、扶養親族が30歳以上70歳未満でも、以下のいずれかに当てはまる場合は、扶養控除の対象となります。
・扶養親族が障害者である場合:現地で自活するのが難しいとみられるため
・扶養親族が留学生である場合:現地で自活するのが難しいとみられるため
・外国人労働者(納税者)からの送金が38万円以上の場合:それだけの送金をしなければならない事情があり、納税者自身の負担も大きいと見られるため
このように国外扶養親族の扶養控除の条件が厳しくなった背景には、通貨の価値の違いや生活水準の違いによる課税の不公平を是正しようという意図があります。
というのも、日本での扶養控除の条件の一つに「年内の合計所得金額が48万円以下」というものがあります。
これは、所得48万円だと、日本では自立して生活できないとされることに由来します。
しかし、これはあくまでも日本の基準。
海外では、国によっては所得48万円で十分に暮らしていける国もあります。
ここで重要なのは、「現地で自活できるかどうか」ということです。
そうした課税の公平の観点から、税制改正により、国外扶養親族の扶養控除の条件が改められることとなったのです。
国外扶養親族を扶養控除にする際に必要な書類
実は2015年までは、ほぼ日本人と同様の簡単な手続きのみで扶養控除が可能でした。
しかし、証明も厳格ではなかったことから、海外から日本に働きに来ている外国人労働者が申告する扶養親族数があまりに多く、その真偽を確かめる必要が出てきたため、2016年には各種書類の提示が必要になりました。
現在、国外扶養親族の扶養控除に必要な書類は以下の2種類です。
親族関係書類
非居住者が納税者の親族であることを証明する書類です。
以下2パターンのいずれかが必要です。
・日本国の政府または地方公共団体が発行した書類及び非居住者である親族のパスポートの写し
・外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類
送金関係書類
年内に非居住者の生活費や教育費のための資金を送ったことを証明する書類です。
以下2パターンのいずれかが必要です。
・金融機関が発行した書類(写しでも可)
・クレジットカード会社が発行した書類(写しでも可)で非居住者がクレジットカード使用で実質的に納税者から生活費や教育費を受け取ったことがわかるもの
受け入れ企業がするべきことや注意点
外国人納税者を受け入れている企業側としては、前項までのような扶養控除の条件や必要書類などについてよく理解しておくことが求められます。
というのも、外国人納税者自身は、慣れない日本で様々なルールや仕事を覚えながら日々、生活をしています。
ただでさえ日本の制度は外国人にとって分かりづらいのに、扶養控除や年末調整など、先々のことはどうしても後回しになりがちです。
とはいえ、期限のあるものですし、必要書類の準備には時間がかかります。
余裕を持って手続きを行えるよう、企業側から声掛けやサポートを行うことが重要です。
雇用している外国人の家族が扶養控除対象となるかどうかヒアリングしたり、条件や必要書類について教えたり、段取りをマニュアル化したりと、社内で対応できる体制を整えておくと良いでしょう。
年末になってから準備するのでは間に合わないかもしれませんので、早めに準備を始めるよう、促すことが重要です。
まとめ
家族が日本にいない外国人労働者も、外国人労働者自身が日本に居住している場合は、条件さえ満たせば扶養控除が受けられます。
時代の変化とともに、様々な条件が追加・変更されてきたものの、基本的には、家族がその場所で自活できるよう、平等に課税しましょう、という観点から改正されたもの。
そして、不当に控除を受けられるようなことがないようにするため、手続きや証明も必要になりました。
日本人の一般的な扶養控除の申請とは少し手順が異なるので、受け入れ企業はそのあたりを理解しておくことが必要です。
そして、外国人労働者が安心して日本で働くためにも、受け入れ企業が扶養控除の申請や手続きをサポートしてあげましょう。
登録支援機関であるネクストドアでは、外国人労働者に必要な手続きや申請のサポート、支援についても、もちろんご相談可能です。
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