外国人雇用でミャンマー人に特化した採用戦略で企業の成長を支援する特定技能外国人登録支援機関、ネクストドアです。

今年3月末の閣議決定により新たに特定技能に追加された「林業」分野。

この業界もやはり、人手不足が深刻ということで、特定技能資格での受け入れを可能にしたということですが、これで問題は解決するでしょうか?

そもそも、この特定技能「林業」の資格では、どのような業務に従事でき、資格の取得要件はどのようなものなのでしょうか?

今回は、特定技能「林業」について、そして林業業界の人手不足問題について考えていきたいと思います。

関連業種の方はもちろん、人材不足にお悩みの方も、特に後半、定着率についての内容までご覧いただければと思います。

特定技能「林業」概要

特定技能「自動車運搬業」の資格で就業可能な職種は、育林、素材生産が想定されています。

具体的には、伐採搬出間伐、草刈りなどの業務と、それらに付随するような仕事(当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務)を行うことができます。

素材となる木材の検査工程に係る作業、関連施設の清掃、運搬、積み込み等が考えられるかと思います。

近年の脱プラスチックやSDGsの観点からも需要が拡大する木材産業を支える上で欠かせない林業の担い手。

そこを補うため、今回新たに特定技能の分野に追加され、令和6年度からの向こう5年間の受入れ見込数は、この分野だけで最大で1,000人とされています。

特定技能「林業」を受け入れるための企業側の要件は?

特定技能「林業」資格を持つ外国人を採用したい場合、受け入れ企業(特定技能所属機関)には、以下のような要件があります。

1, 受け入れ企業は、農林水産省が設置する「林業特定技能協議会」の構成員になり、協議会において協議が調った措置を講ずること。また、協議会に対し、必要な協力を行うこと。

2, 受け入れ企業は、農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導等に対し、必要な協力を行うこと。

3, 受け入れ企業は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託する場合は、林業特定技能協議会および農林水産省に対し、必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

(政府発表の林業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針より引用)

以上のように、協議会への加入や協力を行うことで、特定技能「林業」を持つ外国人労働者の受け入れが可能になります。

また、雇用は直接雇用のみに限られます。

外国人が特定技能「林業」資格を取得するには?

外国人が特定技能「林業」資格を取得する方法は、他の特定技能資格の要件とほぼ同様で、専門分野の特定技能1号評価試験に合格することと、相応の日本語能力が認められることの2つです。

以下、それぞれ詳しく解説します。

1, 林業分野の特定技能1号評価試験に合格すること

特定技能林業を取得するための特定技能1号評価試験は「林業技能測定試験」です。

林業分野ではこれまで、外国人材の受け入れがあまり見られなかったこともあり、今回の特定技能への追加も、まだまだ準備段階です。

試験内容等の詳細もまだ発表されておりません。

ただし、技能実習2号修了者はこれらの試験が免除となります。

2, 相応の日本語能力が認められること

林業における相応の日本語能力とは、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」、あるいは、「日本語教育の参照枠」のA2相当以上の水準とされています。

このレベルだと、小学校2〜3年生くらいの漢字と、ひらがなとカタカナはほぼ全てが理解できる程度と考えて下さい。

会話によるコミュニケーションは、ゆっくり話すと大体理解できるイメージでしょう。

林業に関しては、他の職種と比べると会話や情報伝達が重視される業務内容ではないので、そこまでの日本語能力が求められるわけではありません。

外国人労働者からすると、意外と働きやすい職種とも言えるでしょう。

林業は定着率が低い?

実は、日本人の林業への新規就業者も決して少なくはありません。

というのも、最近では大体年間3000人以上が新たに林業に就いているというデータもあります。

それも、35歳未満の比較的若い世代も多く、同じ第一次産業である農業や漁業を大きく上回る割合と言います。

高齢の従業者の引退が多い分、全体的に見れば減少しているが、新人の参入も比較的多い業種と言えるでしょう。

にもかかわらず、働き手は不足する一方で、今回、外国人労働者の受け入れをすることとなった背景には、定着率の低さがあります。

実は、新規就業者は、5年後に約半数が辞めているというのです。

5年以上経った後も退職者は多く、経験を重ねてようやく一人前になったところで辞めるケースが跡を絶ちません。

その原因は、林業業界の雇用形態にあると言われています。

一般に林業従事者は、森林組合など事業体の職員(社員)として働く人と、現場で働く作業員とに分かれます。

作業員は、雇用されている人だけでなく、独立して個人事業主として働く人もいます。

現在人手が足りていないのはほとんどが作業員で、作業員の給与は一般職員とは違い、働いた日数分だけ支払われる日給月給方式が多いのです。

そして、有給休暇もなく、雨の日は作業ができない分、土日に働くこともあるなどスケジュールも不規則

厚生年金や雇用保険、労災保険などの社会保障制度に加入させない事業体も少なくないと言います。

また、作業員の場合は足場の悪い斜面の現場が多く、伐倒のように危険な作業が少なくない為、事故率が非常に高いのです。

事故発生率で見ると、2022年で23.5%

これは、全産業の発生率2.3%の10倍以上ということになります。

このように自由が少なく、危険が多い仕事である上に、仕事内容は、基本的に新人もベテランも差がなく単調

 ある程度経験を積んだ段階で、キャリアアップが見えない不満や、年をとっても続けられるのかという不安を感じるようになり、辞めてしまうケースも少なくないのでしょう。

こうした雇用形態や労働条件というのは、外国人材でも変わりはないはず。

せっかく特定技能「林業」資格を持つ人材を得ても、定着しなければあまり意味がありません。

日本人の労働者も含め、採用や定着率を上げるには、まずは雇用環境や条件の見直しが必要ではないでしょうか。

まとめ

この度の特定技能への追加で、人材不足解消が期待される林業。

しかし、これまで外国人材を受け入れてきた事例が少なく、その体制はまだまだ不十分。

資格の取得に必要な特定技能1号評価試験である、林業技能測定試験もまだ詳細が決まっていないくらいです。

特定技能「林業」の本格的な始動はもう少し先になるのではないでしょうか。

また、人材不足の根本的な問題は、実は定着率の低さにあるという説もあります。

まずは雇用環境や労働条件の見直しをすることで、現在雇用中の従業者の方々の定着率アップにもつながりますし、いざ特定技能「林業」資格保有者を採用する際にも、募集時に有利となるでしょう。

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