みなさんは外国人技能実習生と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
若い子が異国の地で頑張っている
日本人だけでは人材不足なところにありがたい
違法に安く雇っているのでは?
ある日突然失踪したという話をよく聞く…
等など、良いイメージも悪い評判もあるかと思います。
しかし、これらの印象を持たれている方の多くは、実際の技能実習について正しくご存知ではないかもしれません。
今回は改めて、外国人技能実習生とは?ということについてお話します。

技能実習制度の歴史と背景

近年、外国人労働者が目立つようになってきた為、制度ができたのも最近かと思いきや、技能実習制度が制定されたのは1993年。
意外に結構前からあったのですね。
とはいえ、当時はまだ人材不足という風潮ではありませんでしたし、殆ど知られていなかったことでしょう。
広まり始めたのはやはり、少子高齢化に伴う人材不足問題や、インバウンド等で外国人が居る環境が当たり前になってきた辺りではないでしょうか。
それを裏付けるように、厚生労働省のデータによると、平成26年頃から右肩上がりに増えています。
令和2年、3年と減っているのは、コロナ感染症の流行による渡航規制等の影響です。
コロナが無ければ、おそらく増加傾向は続いていたでしょう。

参考:外国人技能実習制度について(厚生労働省)

技能実習制度の目的

技能実習制度創設当時の状況を見ると、当初は人材不足を補う為、ということではなさそうですよね?
では、どのような目的でこの制度がつくられたのでしょうか。
それは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下「技能実習法」)第一条に明確に表されています。
「技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術または知識の移転による国際協力を推進することを目的とする」
つまり、技能実習は本来、海外(特に途上国)より実習生を受け入れ、実習生の本国では修得が困難な技能を習得してもらうことを目的としています。
決して「労働力として雇用するため」の制度ではないのです。
その為、外国人技能実習生は本国に帰ることが前提となり、最長5年までしか日本に在留できません。
「技能移転」が目的であれば長く日本に留まる必要性はないということです。
つまり、技能実習は永住はできない在留資格なのです。
ただし、一定の条件を満たせば「特定技能」に移行し、最長10年まで延長の可能性があります。
こちらはまた別の記事で詳しく紹介します。

外国人技能実習生を受け入れるには?

技能実習生の募集、選考、決定をするのは送出機関と言います。
申込後、募集を経て雇用契約が成立すると、企業は技能実習計画を作成します。
外国人技能実習機構に実習計画を申請し、認定されれば、出入国在留管理庁に在留資格の申請をし、いよいよ受け入れ、という流れになります。
技能実習計画作成にあたっては、以下の要件を満たしているかがポイントです。
• 同一作業の反復のみで修得できる技能ではないこと
• 技能実習生の本国において修得が困難な技能を習得すること
• 18歳以上で、帰国後に本国への技能等の移転に努めること
• 技能実習職種と同種の業務に従事した経験等を有すること
また、技能実習は対象職種・業種が決まっておりますが、2022年4月時点で85職種158作業があります。
年々追加されていってますので、詳しくは厚生労働省の「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(令和5年7月24日時点 88職種161作業)」をご覧下さい。

まとめ

外国人技能実習生は、本来、労働力として雇用するものではありません。
実習生の本国へ、自社(日本)の技能を持ち帰ってもらい、その技能を使って本国の発展に貢献してもらうこと。
つまり、間接的に外国の発展に寄与することが目的です。
とはいえ、今の労働力不足の日本にとって貴重な人材となり得ることも事実。
技能実習生の中には、日本が好きになり、特定技能外国人へ移行したり、移住を目指す人も出てくるかもしれません。
企業としては、一時的な労働力などと捉えることなく、共に働いてくれる仲間として。
本国の発展を目指す将来有望な若者を応援する気持ちで、あたたかく迎え入れて、共に成長する姿勢で接しましょう。

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